練習 18.3

課題文

καὶ δοῦναι καὶ λαβεῖν πιστὰ ἐθέλομεν.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
καί καί 小辞 この語は変化しない そして
δοῦναι δίδωμι 動詞 不定詞/アオリスト/能動態 与える
καί καί 小辞 この語は変化しない そして
λαβεῖν λαμβάνω 動詞 不定詞/アオリスト/能動態 手にする
πιστά πιστόν 中性名詞 複数/対格 保証
ἐθέλομεν ἐθέλω 動詞 一人称/複数/現在/直説法/能動態 欲する

脚注

特になし。

出典と翻訳

不詳。

ただし、John Williams White, A Series of First Lessons in Greek, 1881, P.113 Exercises I.5にまったく同じ文章が出て来る。

メモ

本課の学習項目がμι動詞の変化、その中でもδίδωμιの変化があるので、δοῦναιの形を正しく把握することが、本課題文の目的と思われる。

δίδωμιのアオリストでの語幹δο。 これに不定詞の語尾である-εναι(第二アオリストの不定詞は語尾が-ναιではなく-εναιになる。 Smyth §685)の先頭母音と幹末母音が母音融合(ο + ε = ου)してδοῦναιとなっている。

λαμβάνωの本来の語幹λαβ。 これに現在形を作るために、語幹-αν-が挿入されたときに、βの前に鼻音のμも挿入されている。

第二アオリストでは、本来の語幹であるλαβが出てきており、そこに語幹形成母音であるεと不定詞の語尾であるεν母音融合している。 つまり本来はλαβενであるものからλαβεῖνになっている。

文の基本構造は、私たちはἐθέλωしている、というもの。 ある行動をἐθέλωしているときは、不定詞を要求する。 それが二つの不定詞δοῦναιλαβεῖν

πιστάは形容詞πιστόςの中性/複数/対格形だが、ここでは中性名詞として「保証」の意味として使われている、と解する。 形容詞と考えた場合、修飾する名詞が見当たらないし、副詞的に読むよりも名詞として読んだ方が意味が通りやすいように感じる。

形容詞としてのこの語は、例えばホメーロスの『イーリアス』3巻にὅρκια πιστά(確たる誓い)という表現が繰り返されるように、外交における取り決めにおいて「揺るぎない」というニュアンスを含んでいるものと思われる。

そしてこのπιστάだが、恐らくは二つの不定詞両方の目的語として機能していると思われる。 それはκαὶ A καὶ Bが、「ABも」という意味であり、二つの不定詞が同時に要求していると思われるからである。

以上をまとめると、「私たちはπιστόν(複数)をδίδωμιすることもλαμβάνωすることもἐθέλωしている(しっかりとした外交交渉を締結したい)」くらいの内容が、本課題文の文意と思われる。


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