練習 18.1
課題文
δεῖ τοῖς εὐεργέταις χάριν ἀποδιδόναι.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
δεῖ | δεῖ | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | (不定詞)しなければ ならない |
τοῖς | ὁ | 定冠詞 | 男性/複数/与格 | εὑεργέταιςにかかる |
εὐεργέταις | εὐεργέτης | 男性名詞 | 複数/与格 | 善行者, 恩人 |
χάριν | χάρις | 女性名詞 | 単数/対格 | 恵み, 好意, 感謝 |
ἀποδιδόναι | ἀποδίδωμι | 動詞 | 不定詞/現在/能動態 | 返す |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
メモ
本課の主要な学習項目はμι動詞の変化。 特にἵστημιやδίδωμιの変化。 従って、ἀποδιδόναιの形を正しく把握することが、本課題文の主旨と思われる。
ἀποδίδωμιはἀπόとδίδωμιによる合成語。 ἀπόは一般に分離を表すので、動作の主体から分離して与える、というニュアンスから「返す」のような訳語が出て来る。 διδο-という現在の語幹を持ち、-ναιという不定詞の語尾を持つから、これは現在(能動態)の不定詞だとわかる。 P.67, §90の変化表でδιδόναιがδίδωμιの不定詞/現在(/能動態)であることを確認すること。
δεῖは「縛り付ける」という意味を持つ動詞δέωの三人称/単数/現在/直説法/能動態の形で、不定詞を要求する非人称用法。 この形で辞書の見出し語になっている。 δέωには「欠けている」という意味を持つ別の動詞もある。
従って、非人称動詞なので主語はよくわからないが、「ἀποδίδωμιしなければならない」が文の基本構造。 何(誰)に向ってἀποδίδωμιするのかを与格のτοῖς εὐεργέταις、何をἀποδίδωμιするのかを対格のχάρινで表している。
まとめると、「εὐεργέτηςたちにはχάριςをἀποδίδωμιしなければならない」くらいの内容が、本課題文の文意と思われる。