練習 17.2
課題文
ἡ μεγάλη πόλις ἐημία μεγάλη ἐστίν.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ἡ | ὁ | 定冠詞 | 女性/単数/主格 | πόλιςにかかる |
μεγάλη | μέγας | 形容詞 | 女性/単数/主格 | 大きい |
πόλις | πόλις | 女性名詞 | 単数/主格 | ポリス, 都市国家 |
ἐρημία | ἐρημία | 女性名詞 | 単数/主格 | 孤独, 荒野 |
μεγάλη | μέγας | 形容詞 | 女性/単数/主格 | 大きい |
ἐστίν | εἰμί | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~である |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不詳。
ただし、Edited by Marinos Yeroulanos, A Dictionary of Classical Greek Qutations, I. B. Tauris, 2016には、ANONYMOUS(作者不明) 17として
ἐρημία μεγάλη ᾿στὶν ἡ Μεγάλη πόλις.
A large citiy is a large wilderness.
(Translated by Gavin Betts and Alan Henry (1989))
A great city is a great solitude.
(Translated by H. T. Riley (1872))
Comica Adespota, Fragment 211 (Kock) - 913 (K-A)
を挙げる。なおラテン語にも同様の趣意を持つ
magna civitas, magna solitudo.
大なる都市は大なる
(田中秀央, 落合太郎 訳)
がある。
メモ
本課の主要な学習項目の一つが、形容詞μέγαςの変化。 女性/単数/主格の形の語がそれぞれπόλιςとἐρημίαにかかっている。
主格の名詞が二つあり、動詞ἐστί(ν)があるので、「A=Bである」とする典型的なcopula文。 定冠詞ἡがどちらにつくかだが、πόλιςを飛び越してἐρημίαにつくとは考え難い。 したがってπόλιςを主語に読んで、「πόλιςはἐρημίαである」のような基本構造を持つとして読む。
出典と翻訳の項に引いた英訳を見てもわかる通り、ἐρημίαは「荒野」とも「孤独」とも解し得る。 それぞれの訳語を当てはめたときに、自分がどのように感じるか、そこからどのような解釈をし得るか、などを感じながら選べばよいと思われる。
以上をまとめると、「μέγαςなπόλιςはμέγαςなἐρημίαである」が本課題文の文意と思われる。 定冠詞がつくと「~というもの」というニュアンスを持つことがあるので、「μέγαςなπόλιςというものはμέγαςなἐρημίαなのである」のように読んでもいいのかもしれない。